吸い込まれる

「工場で男性がダクトに吸い込まれる」というニュースの見出しをネットで見かけて、すぐに別の画面に遷移してしまったので、吸い込まれた男性がどうなったのかはわからないのだけれど、そのときに頭に思い浮かんだイメージというのは『スーパーマリオブラザーズ』の画面の中で、緑色の土管に出たり入ったりするマリオの姿だった。ルイージではなかった。

 思えば、日常生活の中で何かに吸い込まれるということはほとんどない。表現としては「改札口に人々が吸い込まれていく」みたいな言い方はあっても、それはあくまでも喩えであって、たとえば夏になるとプールで子供が排水口に吸い込まれてしまう事故がときどき起きることがあるけれど、そういう風に物理的な吸引力によって人間が強制的にある一点に引き寄せられ、文字通り吸い込まれてしまうということは滅多にないように思うので、工場のダクトというのが具体的にどのくらいの大きさで、どういうものなのかはわからないのだけれど、なかなかにインパクトのある見出しだった。

 そういえば以前に見かけた「コンプレッサーで同僚の尻に空気を噴射して腸が破裂」というのもおそろしかった。