昨夜、ほとんど寝る前に注文したAmazonの荷物が午前中に届いた。早すぎないか。

 東京にも雪が降ると言われていたけれど結局降らなくて、冷たい雨が降っただけで、それも午後には上がった。一日中どこへも行かず、一歩も外へ出ず、部屋で加湿器をつけながら、ひたすら本を読んだり、食べたり、寝たり、テレビを観たりしていた。

 

誰もあなたに助言したり手助けしたりすることはできません、誰も。ただ一つの手段があるきりです。自らの内へおはいりなさい。あなたが書かずにいられない根拠を深くさぐって下さい。それがあなたの心の最も深い所に根を張っているかどうかをしらべてごらんなさい。もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白して下さい。何よりもまず、あなたの夜の最もしずかな時刻に、自分自身に尋ねてごらんなさい。私は書かなければならないと。深い答えを求めて自己の内へ内へと掘り下げてごらんなさい。

(若き詩人への手紙|ライナー・マリア・リルケ

 

まち子がグランドキャニオンを訪れる。「すごい崖」まち子が赤十字に寄付する。「いいことに使って」まち子が瞑想に耽る。「雑念よ去れ」まち子が盲目ピアニストのコンサートに行く。「手先が器用」まちこがシンドラーのリストを見る。「ナチ許すまじ」まち子がヴォイストレーニングをする。「アアー」まち子がゲーム理論に膝を打つ。「そういうことか!」まち子が乳房をなぶられる。「ああッ……」まち子が日光で猿に襲撃される。「やめて!」まち子が靭帯を損傷する。「不幸が続くわ」まち子が夜の過ちを犯す。「あなた、ごめんなさい」まち子が義母にもらったヴィトンのバッグを売る。「ダサいわよこんなの」まち子がヨガる。「ピラミッドのポーズ」まち子がドジョウすくいに挑む。「あーら、ツルツル」まち子が裁判を傍聴する。「痴情のもつれね」まち子が治験に参加する。「いい小遣い」まち子がかろうじて脱出する。「危なかった」まち子がキクラゲを食べる。「コリコリ」まち子が日傘をパクられる。「ここに立て掛けたはずが」まち子がすっかり気落ちする。「気に入ってたのに」まち子がインドで人生観が変わる。「ちっぽけな悩みね」まち子の持ち株が急落する。「どうなってんのよ!」まち子が隙間風で風邪を引く。「へっくしょい!」まち子が街頭インタビューの背後に映る。「あれアタシよ!」まち子が花札で十六連勝する。「よーし乗ってきた」まち子が訪中を断念する。「やっぱり行かないわ」まち子がドバイで自炊する。「外食は高いから」まち子が亀頭を刺激する。「あうッ……」まち子が四捨五入する。「六百五十」まち子が引き返す。「やっぱりさっきの交差点が」まち子が女装する。「すでに女だったわ」まち子が証言する。「あの人がやりました」まち子が乗る。「これは速いわ」まち子が認められる。「あなたは素晴らしい」まち子が見逃す。「八時からだった」まち子が暴露する。「戸田さんは飲酒運転の常習者です」まち子がつねる。「痛いじゃないか」まち子が予感する。「これは」まち子が起床する。「おはよう」

(Tシャツ|木下古栗)

 

 夕方からホセ・ドノソ『境界なき土地』を読み始めて、半分くらいまで進んだ。

 夜はピビンパを食べた。